雇われない女性たちの生き方(起業という働き方)

2017年1月20日金曜日

Fさん,グラフィックデザイナーのインタビュー(雇用されない女性たちの生き方.32)

5人目のインタビュー。



(5)  Fさん(グラフィックデザイナー・40歳・未婚・独立17年目)

 デザイナーになるのが高校の時からの夢で、3者面談の時に「30歳で独立します。」
と言って京都の美大への親の許可をなんとか得て入学した。

 大学4年の時は就職氷河期で京都では仕事がなく、一人暮らしを継続することが出来ないので、地元に戻り印刷会社に入社した。

 その後、1年半で会社は辞めた。
デザイナーの仕事は夜遅くまでするのが当たり前だった。
 しかし、この労働時間と対価は合っていないと強く思い、ならば自分でした方がいい、と23歳で独立した。

当時若いこともあり、辞めた会社から仕事をもらうことも知らず、最初はショップカードを作りお店に営業したこともあったが、受注があるわけではなかった。

 そこで前会社の営業からの紹介で仕事をもらい始めたら、そこから横の繋がりができて広告代理店や印刷会社の下請けの仕事が入ってくるようになった。不思議と仕事が止まりそうになると、入ってくるようになって行った。



 最初は言われた通りのことだけをこなしていたが、リーマンショックで仕事が減り倒産する会社も出てきた。

 差別化しないといけないと自分に何ができるかを考えた。

丁度独立して10年経った頃だった。

紙媒体のオリコミチラシの仕事が多かったので、どうしたら集客できるか考えるディレクションするデザイナーになろうと決めた。

 ある時チラシの中にB4サイズで縦長のオリコミギリギリの物を入れた。そのイベント200名募集のところ2,000名が来ることとなった。

 ここから仕事のやり方を変えた。
 今までのものに新しい試みを付け加え、キャッチコピーまで考えるようになった。それはただの「デザイン性のあるおしゃれ」だけのものに「訴求効果」のある媒体へ変化していった。常に「消費者目線で捉えるようになった。



 今の悩みはPCが普及しすぎたことで2点困ったことが起きている。

 1つ目は、ネットでデザインを安く売る個人や業者が増え、デザインというモノが専門性をもたなくなり料金が下がってきた。

 2つ目は納期が厳しくなった(短くなった)いつでもネットが繋がり連絡が取れる状態なので、以前は時間がかかっていたことが(画像の添付書類化など)「今日の何時」と言うように変わってきた。

 
朝はゆっくり始め、夜遅くまで仕事する習慣は変わらないで時間は自由だ。そして仕事も選べる自由もある。やりたくない仕事は他を紹介することにしている。嫌な相手と仕事をしてストレスがたまることは避けたい。とにかく人間関係のわずらわしさが無い。



 以前は仕事が無いと不安に襲われ、就職情報誌を読むこともあった。ある時、就職面談しようとした時、神様がいるのか、仕事が入り忙しくなってきた。「今は無きゃ無いで辞める時だ。」そう素直に思えるようになった(あては全くないのだが)そう思うと気が楽になる。


 「自己実現はできているのかな。あまり考えたことが無い。」
 今後は今の仕事以外に、今までの蓄積された情報をまとめることを次の仕事をしてみようかと考えている。